Ponanzaが昨年末に将棋倶楽部24に参戦して69連勝をした。24の高段相手に無敗。もう人間は駄目かも知れん。そのときの棋譜がこれだ。
http://www.shogidojo.com/kifu/ponanza_201512.html
Ponanzaの序盤定跡DBに登録されている怪しげな指し手はともかく、中盤以降はさすがの指しまわしだ。
Ponanzaは角換りでも、同型腰掛銀とか採用しない。金は58ではなく48に金を置いて戦うようだ。案外これが優秀な形だ。真似して将棋ウォーズでやってみたら2段から降段の危機に直面していた私が4段にまで戻った。
序盤定跡はプロ棋士の書いた入門書ではなく、コンピューター将棋に学ぶ時代に突入したのだと実感した。
Ponanzaがあと一回り強くなったら、もうプロで採用されている定跡形の大半が否定されるだろう。無論、Ponanzaとて神様のレベルにはほど遠いのだろうけど、プロ棋士とはすでに大人と赤子ぐらいの差がある。これがあと一回り強くなったとしたらと思うと末恐ろしい。
コンピューター将棋とのみ対局して強くなった少年がプロ棋士になって、先進的な序盤で他のプロたちを圧倒する時代がもうすぐ来るのだろうか?否。終盤力がなければ勝ち切れないのが将棋であるから、その心配は無用だろう。まったく将棋とは、げに奥深きものよ。
2016/1/5 17:00 追記
千田翔太五段からこんなメッセージが。
終盤力や玉の安全度、駒の効率の観点などが発展すれば、それらの良い要素が定着している新世代が旧世代に勝率90%以上勝つようになり、私もお払い箱だろう。ただし、最終盤の力を読み以外の面で強化・定着させるのは、今のところ容易ではない。 https://t.co/qIXmVfJNvg
— Shota Chida (@mizumon_) January 5, 2016
>Ponanzaの序盤定跡DBに登録されている怪しげな指し手(これで人間はだまされる・・・)
+
>金は58ではなく48に金を置いて戦う(Ponanza中盤)
+
鬼のような最終盤の読み切り力・・・(人間は涙目)
もはや人間に望みなどはない!
やはりPonanzaに勝てるのはやねうら王(2016)しかないでしょう。
ものすごく強いやねうら王(2016)を作って、自分の作ったソフトに将棋のなんたるかを教えてもらえばいいんやね…。
やねうら王(2016)チルドレン(ソフト・・・ではなく人間)が将棋界に革命を起こす・・・という未来もなかなかカオスでいいですねえ。
ポナンザの怪しげな手はゲーム木を読んでみると納得する日が来るんでしょうかね。
まさか不要な手を打ってるとは思えませんし、その意味と出現の理由に興味があります。
ところで、屋根さんがひまうら王を囲わせるために特訓したように、人間にもあのようなものを採用しないと新しいことって覚えない気がするんですがどうなんでしょ。まぁ、人間はその後それがどれくらい重いか検証しないと実践には使いませんが。んで、その重み評価のプロセスって正しいんですかね??
やねさん、いつもありがとうございます。
私もYakitoriさんと同じように、Ponanza、ひいてはソフトが示す手の意味とその手が選ばれる理由に大変興味があります。
それらを差し手からではなく、「ソフト自体」から人間が理解することは出来るんでしょうか。
機械学習の結果(パラメータ?)等から、将棋の本質(解?)が見えて、学ぶことが出来れば面白そうです。
それはソフトが持つファイルのデータ構造が将棋にどれくらい即しているかということに直結すると思います。
将棋は枝きりしなかったら巡回問題なのでIFがたくさんあるわけです。
そのIFの時に一意にこれだと提示できる根拠というのはなんなんでしょうね。
自分の経験だと自分が正しいと思うからという棋理に基づいたものを明文化するのは難しいと思いますが、しかしなんかすごい人に明文化してほしいと思いますね。
ワンダーです。
> それらを差し手からではなく、「ソフト自体」から人間が理解することは出来るんでしょうか。
少なくとも形の良し悪しは理解できますね。本記事中の48金とかそうで、読みとか、棋力とか関係なしに、48金が角換りにおいて良い形というのを知っているだけでずいぶん得だと思います。角換りで5筋を突かないほうが得とか、そういう類ですね。
ここで聞くのも変かもしれませんが、ちょっと違う方向で疑問に思っていることを書いてみます。
1.強さ・最善手の発見について
昨今の最強コンピューターソフトの指し手は、プロ棋士を本当に超えているのでしょうか。ミスも含めた対局では、人間に有利な森下ルールでさえ、人間側が負け越すとは思います。
もし、継盤使用はもちろんで、複数人のプロ棋士同士の合議、秒読み「1週間」のような、「局後の検討」レベルで人間側が思考したとしても、最強ソフトの指し手を咎めることはできないくらい、最強ソフトは人間には読めない手を連続して指せるのでしょうか。
2.完全解析への道
9×9の本将棋はまだ到底無理でしょうが、より狭い、他のルールの将棋については、完全解析の可能性は数年前から変わっているのでしょうか。例えば、5五将棋はどうでしょうか。
2015年の Ponanza や、強いやねうら王は、名人をも凌駕するレベルに達したように感じていますが、この進化は「本将棋の強さ(駒落ちも含む)」のみ、なのでしょうか。
詰将棋(協力詰め)も挑戦されていますが、最近のコンピューター将棋は以前に比べて何が(どのくらい)すごくなったのか、今後は何ができそうなのか(完全解析の可能性等)について、もっと聞きたいなと思いました。
あ、こういう疑問を持っている人がいる、という感じでコメントしただけなので答えにくければスルーして結構です。
1については、大体のゲームはそのルートをツリーおよびグラフであらわすことができます。
将棋はグラフなのですが、その数は大きく末端まで読み切るにはちょっと今のコンピュータでは難しいです。
しかし、一回解析してしまえばファイル化できますから、検索難易度は大幅に下がるはずです。
一応電王戦などは256手で終局しますから、実質その深さのツリーを解析することで引き分けまでは戦えます。
人間の学習メソッドって大体マジョリティになりえるものを重いものとして学習するかと思います。将棋においてベストな手がまさかマイナーないまだ知られていない手だった場合にはそこに人間が触れることはかなり偶然です。
コンピュータ新手とはそこに検索が行ってそれ相手を倒したときに人間があぁそういうのもあるんだなーと、はじめて重みを付けます。
そのプロとは、大局観とは。コンピュータで言えば、勝ちに近い値に寄せていくそういう検索を行い、画像解析の中でその形に近いものに重みを付けることでそこへ収束していくそういうプロセスなんじゃないかと思います。
コンピュータはある点からある点へ検索するように、人間はある型から型へ検索することが最善であるということになってるのではないかと思います。
長くなってしまった。駄文すいません。
1.は、やってみないとなんとも…。
2.は、55将棋の完全解析は、私が生きているうちになされることはギリギリないと思いますが、しかし、もうそろそろ技術的には神様と同じ強さのプレイヤーが作れると私は考えてます。ただ、55将棋の大会がしょぼいせいか、電王トーナメントで上位に来るような開発者が誰ひとり参加してません…。残念です。
ありがとうございます。
Yakitori さんの言うように、候補手としてマイナーに思える手だからプロ棋士には指しにくいけれど、意外と悪くない、という手が電王戦関連の対局やソフト検討で何度も現れていますよね。
ソフトとプロが「大人と赤子ぐらいの差がある」のは、読みの力の差ではなく、読みの時間や集中力の問題だと考えています。
つまり、局後の検討レベルでプロ棋士が考えれば、ソフトの候補手をほぼ全て「プロは解説できる」のだろうと。そういう意味では、ソフトとプロの力は互角か、プロの方が少し上かと素人ながら思っています。
2.について、最近の状況を知らなかったので参考になりました。感覚的にですが、8×8オセロと5五将棋は同じくらい神に近いレベルのソフトが作れるくらいになったという認識になりました。
フェムト秒位であれこれ思考できる人間じゃないとコンピュータと同等の計算力って得られないんじゃないかと思います。
電王戦で21手でコンピューターが投了
阿久津主税8段がAWAKEに勝利したやつ
あれはもう起きないの?
ソフトに寄りますが、対策しているソフトの方が強いプログラムでは多いように思います。
例えば、GPS将棋は飛車・角の自由度を計算していて、狭い所に飛車や角を打つような手を抑制しているようです。
まぁ、対策していても起きてしまうこともあるんですけれどもね…。
本将棋の駒の配置を左右非対称にしては、どうかと。
具体的には、桂と香を少し違う動きにするのは?
その他は、歩兵の一つを2歩可能な駒にする。
その他、このルールで大将棋、摩訶大将棋、大局将棋などで、「持ち駒の使用あり」で、配置をランダムにして、コンピューター上で、シミュレーションしていただけないでしょうか?
将棋ではなくチェスなら駒の初期配置をランダム化するのは、Chess960としてすでに広まってますね。
> コンピューター上で、シミュレーションしていただけないでしょうか?
そのルールを実装するのが結構な作業で…さらに、それに合わせた評価関数を用意するのは大仕事で…(´;ω;`)