将棋AIはなぜ入玉がヘタクソになってしまったのか?

いまどきSNSで馬鹿でかい主語を使うとすぐに炎上する。「女と言うものは」とか「人類は皆」とか、そういう馬鹿でかい主語で語ることについて誰もが細心の注意を払っている。

ところが、「将棋AIは入玉がヘタクソ」と誰かが言ったところで炎上なんてしない。プロ棋士が「いまの将棋AIはこうなので…」みたいな発言をしたところで、「いやいや、こっちの将棋AIはそうじゃないよ」と誰からも指摘が入らない。

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第2回電竜戦HWT本戦、今日から

第2回マイナビニュース杯電竜戦ハードウェア統一戦(以下、電竜戦HWTと略す)の本戦(決勝トーナメント)が本日から開催される。

電竜戦HWTは、昨年行われた第4回世界将棋AI電竜戦TSEC、第4回世界将棋AI電竜戦本戦の上位チームに参加資格が与えられ、統一ハードで試合が行われる。賞金総額100万円以上であり、本戦はプロ棋士の解説ありで、注目度の高い大会だ。

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将棋のような先手必勝のゲームで後手番定跡を作るには?

将棋は先手必勝のゲームである。将棋AIの大会上位チームの開発者でそのこと自体を疑っている開発者はたぶんいない。とりあえずは、この記事を読むにあたって、これを事実として飲み込んでいただきたい。それで、このような先手必勝のゲームにおいて、後手はどのような戦略を取ればいいのかというのを書いていく。

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羽生先生の発言は何が開発者の反発を招いたのか?

2つ前の投稿で羽生先生のインタビュー記事の発言を取り上げたらプチ炎上しました。私は特に炎上を狙ってやっているわけではなく、羽生先生の発言が将棋AI界隈に悪い影響が残り兼ねないので書いたのですが、開発関係者からは一定の同意が得られたものの、将棋ファンからは殺害予告やら、こんなツイートやらが届く始末です。

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第4回 電竜戦優勝決定戦 dlshogi VS 水匠の解説動画

将棋AIの頂上決戦とも言える、第4回 電竜戦の dlshogi VS 水匠の将棋ですが、将棋のレベルが高すぎて、私は開発者として理解が全く追いつかず、「(ディスプレイに表示される)評価値がプラスだから勝ってるんじゃね?」ぐらいの感覚で観戦しておりました。

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いま将棋AIの世界では、どれくらい先手が有利なのか

ここ最近になって、将棋は、先手必勝のゲームであると考える将棋AI開発者が増えてきた。私もその一人であるが、いま将棋AIの世界で先手の勝率はどれくらいになっているのだろうか。今回は、最近の流れを追いかけてみる。

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第4回世界将棋AI電竜戦本戦 優勝記

先週末に開催された電竜戦本戦で、水匠チームが優勝した。私(やねうらお)も同チームのチームメンバーとして参加し、私は探索部の改良を行った。同チームのたややんさんは、定跡と評価関数(の機械学習)を担当した。

現代の将棋AIの大会で何が起きているのかについて手短に書く。

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