多くの将棋ソフトで256手ルールの実装がバグっている件

256手ルールというのは、電王トーナメントなどで採用されていた、256手に達したら引き分けというルールである。強いプレイヤー同士の対局では平均手数が伸びる傾向にあるようで、最近ではコンピュータ将棋の対局でも入玉模様の将棋の割合が増えてきたため、WCSC29では320手、電竜戦では512手に変更されている。以下では規定の手数になれば引き分けとなるルールのことを「256手ルール」と書く。

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『水匠』の何が強かったのか?

昨年の世界コンピュータ将棋オンライン大会で優勝したソフト、水匠。

大会では、水匠は探索部にmブランチを用いて、かつ、スリッパ(AMD Ryzen Threadripper 3990X)を使用していました。そのせいか、「水匠が優勝したのは、mブランチとスリッパのおかげだろw」と言う声がなくもありません。

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WCSC31にはDL勢しか決勝日に残らない(予言)

やねうら王の定跡生成のためにMCTS(モンテカルロ木探索)の探索部書いてたんですよ。まあ、半日ぐらいでだいたい書けて、ふと思ったんです。あれ?これ、dlshogiの評価関数呼び出せるようにしたら、dlshogiなんじゃね?と。

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OSSの将棋ソフトは何故一つになれないのか?

やねうら王系の将棋ソフトで採用されているNNUE評価関数がコンピューターチェスの代表格であるStockfishにportingされ、Stockfishのほうで驚異的な強さを発揮し、Stockfishに正式にマージされるのではないかというまでの勢いを見せている。WikipediaにNNUEの項目まで誕生した。

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やねうら王、mブランチとは何なのか?

WCSC30(第30回 世界コンピュータ将棋選手権)がコロナのために中止となり、代わりにWCSO1(世界コンピュータ将棋オンライン大会)が有志によって開催された。そこで優勝したのは水匠であったが、この水匠の思考エンジンは、探索部やねうら王、mブランチであった。mブランチとは何なのか。mブランチは何故強いのかについて軽く書いてみたい。

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dlshogi強すぎクソワロタ

AlphaZeroの再現実験として、YSSの山下さん、Bonanzaの保木さん、Ray(囲碁ソフト)の小林祐樹さんのゴールデンコンビがタッグを組んだAobaZeroというソフトがあるのですが、ここ最近は棋力が停滞気味であります。

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やねうら王 WCSC30 PR文書

今年の5月に開催予定のWCSC30(第30回世界コンピュータ将棋選手権)、コロナのせいで中止になりそうなのに、PR文書の提出期限は3月末なので何か書いて提出しなければならない。

仕方がないので20分ぐらいで殴り書きしたPR文書を提出しておいた。以下にそのコピーを貼り付けておく。なお、内容の正確性については一切保証しない。

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教師生成時のdepth問題に関する考察(WCSC29優勝記より)

CSAの会誌に書いた原稿(WCSC29優勝記)をそのまま転載すると著作権違反になると思うので、記憶を頼りに内容を掘り下げながら書いていきます。昨日の記事で書いたように猫砂はいくらでも受け付けております。

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