昨年の世界コンピュータ将棋オンライン大会で優勝したソフト、水匠。
大会では、水匠は探索部にmブランチを用いて、かつ、スリッパ(AMD Ryzen Threadripper 3990X)を使用していました。そのせいか、「水匠が優勝したのは、mブランチとスリッパのおかげだろw」と言う声がなくもありません。
今回は、それが真実なのかを検証したデータを公開したいと思います。
36.sfen(floodgate上位ソフトの36手までの互角局面集)の 12手目から開始。
なんと、持ち時間を2スレ1秒、2秒、4秒と増やしていくとR差が拡大していくではありませんか!(水匠が大きく勝ち越すようになる)
// 水匠 vs tanuki-WCSC28
// 36.sfen 12手目から
// 探索部やねうら王V5.31で計測
T2,b1000,1629 – 141 – 1230(56.98% R48.81[38.01,59.6]) winrate black , white = 48.55% , 51.45%
T2,b2000,1658 – 170 – 1172(58.59% R60.26[49.36,71.17]) winrate black , white = 51.84% , 48.16%
T2,b4000,763 – 88 – 479(61.43% R80.88[64.22,97.53]) winrate black , white = 51.93% , 48.07%
これ、本番環境(大会用のPCスペック)ですと、すごく大きな差になりかねないですね。まあ、20手目ぐらいまでは定跡で抜けるでしょうけども、それにしてもえらい発見です。
// 36.sfen 24手目から
T2,b1000,1617 – 119 – 1264(56.13% R42.79[32.06,53.51]) winrate black , white = 53.45% , 46.55%
// 36.sfen 36手目から
T2,b1000,1535 – 119 – 1346(53.28% R22.83[12.16,33.49]) winrate black , white = 51.23% , 48.77%
やねうら王互角局面集の24手目からの計測だとtanuki-のほうが+R10ぐらい強かったのですが、今回はまったく違う結果となりました。
今回の検証で、水匠の評価関数は、強いソフト同士で現実的に起こりうる局面に対してはめっぽう強いということがわかりました。
古いネタで申し訳ないですがウチの計測もリンク置いておきますね。
https://bleu48.hatenablog.com/entry/2020/05/16/110951
当時5分5秒のフィッシャールールで大差無いとの結論です。
今年の電竜戦TSECのたぬきさんやBBさんと比較しては?
この計測自体は、昨年の10月ごろにやったものなので、また機を改めて計測したいと思っています。