第6回世界将棋AI電竜戦(以下、電竜戦と略す)に『水匠Concerto』チームとして参加して準優勝を果たした。自分のメモ代わりになんやかんやを書いておく。
まずは、弊チーム『水匠Concerto』の豪華すぎるチームメンバー。
・やねうらお(やねうら王開発者)
・たややん(水匠開発者、弁護士)
・谷合廣紀(将棋プロ棋士、東大大学院博士課程在籍)
・よみぃ(総チャンネル登録者数 300万人超えの演奏系YouTuber、作曲家)
将棋AIの内容はともかく、知名度だけで言うと、今回、弊チームに勝るチームはないだろう。
弊チームの技術的な話は、たややんさんの振り返り配信に詳しいので割愛。
【将棋AI #電竜戦 感想戦】水匠Concerto準優勝!今後の課題を確認しよう!の巻【将棋AI水匠/たややん】
それにしても、「GPUの世界は進化が速く、2年で性能が倍」とは一体なんだったのだ。2022年10月にGeForce RTX 4090が30万弱で発売されて、「たけー」「どうせ2年後には倍のスペックの製品が同額で買えるようになるんでしょ」とか言ってたのに、そこから3年が経過したが、コンシューマー向けで4090の倍のスペックの製品が出てもなければ、4090ですらいまだ30万円以上で取引されている。
私は、そろそろ6090がでるんかな?と思って今年の8月に4090をただ同然で友人に売ってしまった。6090が出るどころか、5080 SUPERすら出る気配がない。おまけにメモリもSSDも高騰してる。
こんなことなら3年前に4090もっとたくさん買って5年ぐらい使い倒せば良かった。完全に読み違えてる。
「2年で性能が倍」とか言ってた奴を全員げんこつでぶん殴ってやりたい。あ、当時、俺も言ってたか…。
おまけに、将棋AIの世界では、2024年以降、NNUEの学習にも知識蒸留だとかでGPUを使う方法がスタンダードになってしまった。(技術的な詳細については別の記事で書く。)
この知識蒸留にもGPUが必須で、しかも教師局面数も(水匠10の教師局面数である)80億局面では全然足りんときたもんだ。80億→160億局面に増やしたら強くなったと言う奏乗チーム。(奏乗チームは本大会 決勝5位)
そして、その知識蒸留を行うためのもととなる大きなDL系モデルの学習するのにもGPUが必須で、あと、大規模定跡の生成もDL系の将棋AIも併用して定跡の末端の評価値の正確性を検証すべき、みたいな話もでている。
搭載している定跡の精度、正確性において群を抜いているdlshogiの定跡は、DL系(dlshogi)で定跡を掘り、その定跡木の末端の局面での評価値をNNUE系(氷彗?)で確かめて、その2つの評価値の符号が異なる場合、そこからさらに延長しているのだそうな。(次記事)
第6回世界将棋AI電竜戦本戦 結果報告 (dlshogiの山岡さんのブログ)
https://tadaoyamaoka.hatenablog.com/entry/2025/12/10/215924
私の「新ペタショック定跡」(自動生成の大規模定跡)では、NNUE系のみで定跡を掘っているせいか、定跡の末端の評価値があまり信頼できない。DL系の将棋AIでも検証したい。しかしそれにはGPUがたくさん必要なのだ。
そんなわけで、2026年の将棋AI開発にはGPUめっさいる。完全にやらかした。もう2026年はクラウドでGPUを借りられるサービスと心中するしかない。