将棋はチェスに比べてどこが難しいのですか?

コンピューターチェスの世界ではIBMのDeep Blueがカスパロフ氏に勝利したのは1997年。コンピューター将棋の世界で名人の棋力に到達したと言われているのは2012年あたり。実に15年もの後れを取りました。

この原因として「将棋は捕獲した駒が再利用できるので指し手の組み合わせが膨大になるから」というのが通説ですが、Ponanzaの山本君は、それとは違った考えを持っています。

CODE FESTIVAL 2014 ライトニングトーク 2日目より。

彼の話を私なりに要約しますと、将棋はチェスに比べて小駒ばかりなので駒の移動速度が遅く、それゆえ位置評価が重要になるが、その位置評価を適切にやるための手法が開発されていなかったことが、コンピューター将棋がコンピューターチェスに対して後れを取っていたことの主な原因であると。

この説には私は大いに同意します。先日のpredictionと棋力との関係でも書きましたが、いまの機械学習を用いた評価関数においては、predictionはかなり高く、ある局面で評価関数の言うままに(探索せずに1手進めて評価値の高い順に)上位10手を挙げた場合、プロの棋譜と98%程度一致します。

これくらいの精度で指し手の候補が挙げられるなら、ある局面で可能な指し手の数が多かろうと、そのこと自体はあまり問題になりません。

これは囲碁の世界でも同じことです。囲碁の世界でも機械学習により、棋譜の指し手との一致率(prediction)が将棋と同じぐらいになってきたとき(候補手10手での一致率が98%以上)には、囲碁でも名人を超えていることでしょう。

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