コンピューター将棋同士で自己対戦させていると長手数の勝ち手順や鮮やかな寄せが見られることがあります。
「捨て駒連発」とか「そっぽに行く手」とか「それ以外では悪くなる」とか、何らかの尺度でもって、そういう指し手を自動的に抽出することは可能だと思います。詰将棋の自動生成(人間的に見て、意味のある詰将棋)なんかは、昔から色々研究がありますね。まあ、人間的に見て美しい詰将棋の自動生成というのはなかなか難しいようで研究は停滞気味のようですが、このへんは「美しい」というのを機械学習か何かで学習させればある程度打破できるように思います。
また、詰将棋の自動生成のうち、特に研究が進んでいるのは裸玉で、これは盤上に駒が存在しないので無駄な駒はないという意味で人間的に見ても大変美しいものです。
裸玉全検の可能性については「詰将棋おもちゃ箱」のTETSUさんが取り組んでおられます。私もdf-pnルーチンを書いたときにテスト目的でやってみようかと思ったのですが、df-pnだと余詰は検出できないので、df-pnのあとに余詰を検出できる詰将棋ルーチンが必要になるので裸玉全検に挑戦するのはやめました。柿木将棋は別のプログラムから制御することは可能らしく(局面図を渡して詰将棋を検討させることが可能らしく)、このへんは自動化することは出来るようです。計算資源が有り余っている人はチャレンジしてみられてはいかがでしょうか。
コンピューター将棋同士の対局棋譜から次の一手問題を自動ではなく、手動で抽出するのであればいますぐにでもそういう問題集を作ることは出来そうです。
昨年の電王トーナメントのときにAWAKEがやねうら王相手に光速の寄せを見せたとき、私は遠山先生に「こういうの集めて、次の一手問題集として本にしたら売れると思うんですけど」と言ったら、「(プロ的に見ても)難しすぎて誰も買わないんじゃないですか」と笑顔で返されましたが。
まあ、自分で解くのは無理ゲーだとしても、解説がついていて、それを鑑賞する分にはコンテンツとして十分成立するような気がします。例えば、Ponanzaが次の一手問題集の解答の上を行く読み筋を披露した局面とか。
#Ponanzaで見る難問次の一手 新しく別の問題です。 ここからの3手が決まっているというのが次の一手の狙いだったのですが、Ponanzaは簡単には決まらないといっています。 まずは問題集の正解の3手一組を pic.twitter.com/VmTmNPw5b1
— 山本 一成@Ponanza (@issei_y) February 2, 2015
正解は▲13角(取るのは詰み)→△12玉→▲44角(詰めろ逃れの詰めろ)→△33香(▲13角を入れずに単に▲44角では詰めろが続かない)→▲41飛成(詰めろ)→△同銀→▲33角成(部分的には必死) pic.twitter.com/Gzj5BW66QY
— 山本 一成@Ponanza (@issei_y) February 2, 2015
先手からの技が決まったかとおもいきやここで後手から根性の妙防があります。 Ponanzaはこれを読んでいるのでこの問題を簡単に先手有利とは言わないみたいです。 pic.twitter.com/w4gaLXjjP9
— 山本 一成@Ponanza (@issei_y) February 2, 2015
ここから△77銀!→▲同馬(それ以外の応手は詰み)→△66銀(詰めろ逃れの詰めろ)として後手玉の詰みを強引消します。 そのあとは例えば▲同歩→△39飛→▲59香→△13角くらいでしょうか? 将棋には手は残されていることを感じさせます pic.twitter.com/qE0oyEfgmX
— 山本 一成@Ponanza (@issei_y) February 2, 2015
こういうの、コンテンツとして非常に面白いと思うのですよ。
floodgateの棋譜を解説しているmizumon_先生とか、コンピューター将棋に詳しい西尾先生とか、書籍化しませんか。