ニコニコ動画の電王戦への道で、何故か、私が1ヶ月で将棋アマ2,3段クラスになった天才という扱いになっていて、そして一部の人に嘘つき呼ばわりされて、おまけに私の出身大学とその入試偏差値まで動画コメントに書かれている始末であります。
「あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!(中略) 頭がどうにかなりそうだった…。美人局(つつもたせ)だとかワンクリック詐欺だとかそんなチャチなもんじゃあ断じてねえ。もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…」
私の棋力に関しては、Aperyの平岡さん(将棋ウォーズ 三段)と1年ほど前に、将棋ウォーズで友達登録して3分切れ負けで2局やったら、2局とも勝ちました。まあ、3分切れ負けなので双方大悪手の応酬でしたが。あと私は大学当時、赤旗の将棋大会で大阪府大会ベスト8までは行ったことがあるので、少なくとも2、3段はあったのだと思います。それから、マイコミのオンラインの将棋認定では五段(将棋連盟誕生81周年の特典として+1段である六段)の免状取得資格は得られました。免状代がもったいないので免状取得はしていませんが…。
いや、そんな自慢をしたいわけではなくて、その棋力に達するまでに私が将棋を覚えはじめて1ヶ月だったのかというと、そんなことは全くないです。
上の動画では完全にカットされているのですが、将棋を私が覚えたのは5歳ぐらいのときです。父親がアマ初段ぐらいだったので、練習相手が欲しかったようで、それで私に駒の動かし方を教えたわけです。ところが父親は口下手で、人にものを教えるのが非常に苦手なタイプでしたので、どれだけやっても私は上達しなかったわけです。(対局だけは結構やったので頭のなかに将棋盤ができて頭のなかで駒を動かせるようにはなっていました。)
父親にしてみれば私が上達しないほうが酒を飲みながら鼻歌交じりに対局して、そして勝てるので、それはそれは気分が良かったのかも知れませんが、私にしてみれば、「おとんは馬鹿なのになんで酔っ払ってるおとんにすら勝てないのか。もしかして、俺は馬鹿以下の馬鹿なのか。」などと自問自答を繰り返す日々でありました。
それで「コンピュータ将棋を作って、おとんを打ち負かしてやるぜ!」と思ったのが小学五年ぐらいのときなのですが、当時のマシンスペック(CPU 4MHz、メモリ16KB…)や開発環境(オールアセンブラ)では実装自体が困難を極める状況だったので、作りきれなかったのです。未来の自分への宿題として託したのであります。
私は中学・高校では父親と将棋はほとんど指さなかったのですが(私が負けるから)、大学に入学したときに羽生七冠ブームが到来し、ブックオフで将棋の入門書を立ち読みしたのをきっかけに(お金がもったいなくて買えなかった)、将棋の勉強を始めたのです。そうすると、自分は形勢判断が正しく出来ていなかったということに気づいたわけです。
また、出典は忘れましたが、当時、羽生先生に「コンピュータに将棋を教えるとしたらどうしますか?」というインタビューがあって、羽生先生は「形と形を比較してどちらが優れているかというようなことをたくさん教える」と答えていて(うろ覚え)、それを読んで、「ああ、これが将棋の本質なんだな」と私の全身に電流のようなものが駆け巡ったのを覚えています。
※ 追記 : 出典がわかりました。明日の記事で書きます。
ですので、プロの棋譜を見て、守りの形―具体的には王周辺の24近傍を、相手と自分とで比較するだとか、攻めの形―具体的には飛車の24近傍とかを相手の守りの形と比較して優劣をつけるだとか、私はそういう訓練を当時たくさんしました。
もともと脳内の盤面で駒を高速に動かすこと自体は出来ていたので(子供のころにやっていたから)、結局、そうやって形と形の比較による形勢判断が出来るようになったころには、棋力がめきめきと増して、父親には二枚落ち(私が上手(うわて)で)でも互角ぐらいで戦えるようになっていました。
要するに、何もないところから将棋を覚えて一ヶ月でアマ2,3段になったという話ではないのですが、さきほどの動画ではそんな感じに編集してあって、「さすが、やねうらおさん、天才だな!」(←誤解だけど何故か許せる)とか、「やねうら、また嘘つきやがって!」(←誤解だけど何故か許せない)とか、まあ、色々言われているわけですが、事の真相は、以上であります。
羽生さんのインタビューの出典ですが、「羽生 21世紀の将棋」に載っていて、それは1996年の将棋世界4月号に掲載されたインタビューを引用したものです。
なので、やねうらおさんが読んだのはおそらく将棋世界かと推測します。(どうでもいいですが)
将棋世界を購入するという選択肢もある、ということだけお伝えしたくコメントしました。
コメントありがとうございます。はい、まさに、姫路駅の駅前の本屋で立ち読みした将棋世界だと思います!(立ち読みばっかりでスミマセン..。)
2つの玉周り24近傍(5*5-1ですよね?)と2つの飛車周り24近傍の点数を変数にした評価関数をつくって、羽生さんの棋譜のみからその点数を決めて、将棋ソフトをつくれば、当時のやねさんの情報処理速度と、現在のコンピューターのそれとを比較できる?
24近傍ですと次元を下げないと学習できないでしょうね…。あと組み合わせが膨大なので中盤に差し掛かるぐらいのところまでしか…。
出現しなかった組み合わせは0点で、後は駒の損得も入れて、としても相当に強いんじゃないですかね。駒の損得だけでも五段なので。
> 普通じゃない
> ひねくれている
笑
> こっちの手に対応してくる
> 意図を外そうとする手を常に指してくる
「防御重視」みたいな話に聞こえる。違うのかな
> 凄い駒損をしてくる時がある
評価関数の欠陥?それとも深く読むために犠牲にした何かの悪影響?
詰野照子ちゃんにはがんばってほしいですね。
それから知能。不思議です。
凄い駒損のくだりは私もよくわかりません…。飛車詰ませたときの、水平線効果的な何か?
知能で面白そうな番組が・・・
人間は不要に? “人工知能社会”の行方
http://www.nhk.or.jp/gendai/yotei/index_yotei_3625.html
開発の先頭を走るアメリカでは、人工知能が、新聞記者に代わってニュース原稿を作成。大学進学の適性試験でも、小論文の採点に人工知能が導入され、
小論文の採点に人工知能導入って面白いですね。ワードサラダとか食わせたら案外高得点になったりして。