世界コンピュータ将棋選手権(以下、WCSCと略)では、参加ソフトがライブラリとして使えるのは、CSA(コンピュータ将棋協会)に登録したライブラリのみで、WCSCはご存知のように5月のGW中に開催されるのですが、このライブラリの申請は1月末までとなっております。
現在、CSAのライブラリとしてその棋力および参加ソフトに採用されている数においてツートップであるAperyとやねうら王がGitHub上で開発が行われており、この1月末のCSAライブラリの登録締め切り以降もGitHubにはそれなりに更新をpushするので、ライブラリを使用する側としては更新されていれば当然それらを参考にするでしょう。
結局、このCSAライブラリの制度自体が時代の趨勢に追いついていないのだと思いますが、そんななかクジラちゃんのスレーブ側で使われているプログラム(「Silent Majority」通称、魔女)が、GitHubのほうのAperyを使っていたのではないかということで話題となっているようです。
クジラちゃんのスレーブ、CSAに登録したAperyライブラリじゃなくてGitHubの最新からフォークして作られてたので厳密にはルール違反な訳だけれど、まあライブラリから大した機能追加はしなかったから特に問題では無いかと個人的には思う(´・_・`)
— 平岡 拓也 (@HiraokaTakuya) May 10, 2016
平岡さんは「厳密には(WCSCの)ルール違反」という考えのようですが、まあ、CSAのサイトからライブラリをダウンロードしたあと、GitHubのコミットを見ながら最新のものに手動でキャッチアップしたとしても結果的には同じものが出来上がるわけで(これ自体はWCSCのルールには反しないはず)、その手順をショートカットすると「ルール違反」になるという状況はおかしく、まあ、仮にこのショートカットが「厳密にはルール違反」になるのだとしたら、それはそのルールがザルなのだというのが私の考えです。
CSAライブラリの提供側の一人として、CSAのライブラリ規定が来年には改善されることを願っています。
そもそも、どうとでも解釈出来る曖昧な規定が問題の根底にあるように感じます。
そういえば
選手権の終了後技巧のソースコードを見る開発者の人だかりの中、きふわらべの作者さんが一番いい位置にいました。
たぬきの作者さん同様きふわらべの作者さんにも偵察を依頼したのでしょうか?
なんだかんだ仲がよさそうですね
私は高橋君には何も依頼してないです。彼のいまのC++の理解度だとどうせ何も理解できないでしょうし…。(^^;
WCSC26の総括、新手法のわかりやすい紹介、電王トーナメントの展望などなど期待してます。時間のある時にでも
選手権での技巧 vs Ponanzaのことは近々書くかもです。
すいません。小さいところですが
[GitHubのコミットを見ながら最新のものに手動でキャッチアップ]
aperyの場合、平岡さんのライブラリ登録以降のコードをそのまんま自分のソフトにも手動で反映させたらアウトらしいです。
平岡さんが複数チームに参加してることになるので。
同じ修正をしたい場合は違う実装のしかたをする必要があるようです。
手動で反映させるのがOKでGitHubから反映させるのがNGだと筋が通りませんから、(CSAのライブラリ規定の解釈として)両方NGだとみなすという考え方は理解は出来ます。GitHubの修正内容を見て、自分でわざわざ違う実装をするのは無駄以外の何物でもないですが…。
個人的には、ルールには厳格に従ってもらいたいですね。探せばいくらでも抜け道があるにしても。
特に、性善説前提で運営されている大会では。
ライブラリ公開者には締切日以降にアップデートの公開を禁止する、しか回避方法がない様に思えます。
そこまでしないとルールを守れないの?と思ってしまいます。
> ライブラリ公開者には締切日以降にアップデートの公開を禁止する
CSAライブラリとして登録することによる、その作者への直接的なインセンティブがないので、締め切り日以降のアップデートの公開を禁止されてしまうと私ならCSAライブラリには登録したくないかな…。