昨日の記事の続きです。
やねうら王側の飛車が詰んだ局面、ソフト側は龍を作っているので龍の価値を大きくプラス評価しており、かつ飛車を詰ませるまでの手順が見えていないため大きな得だと思い込んでいます。
これは、やねうら王がponanzaやAWAKEに比べて弱いソフトだから、というわけではなく、ソフト共通の弱点だと言えます。この局面はponanzaでも読み進めるうちに大いに反省するようです。(反省=評価値がマイナス方向に大きく変動すること)
あーこの評価値推移はひどい。Ponanzaもこれは負けるわ・・・ pic.twitter.com/ICVQlid8eg
— 山本 一成@Ponanza (@issei_y) January 26, 2015
上図はソフト共通の課題を孕んだ局面と言えるかも知れません。本番では持ち時間が増えるとは言え、この局面への進行を回避できるかどうかはよくわかりません。
動画を見て、プロ棋士の方々は一見するとコンピュータが良いと勘違いするけど、局面を進めると悪くなる局面を選択的に選んでいるみたいです。 これに対抗するには探索ではなく、基本的には評価関数を良くするほか無いんですが、しかしこれどーするよ・・
— 山本 一成@Ponanza (@issei_y) January 26, 2015
今回、プロ棋士側は、読み筋を確認しながらコンピューターが良いと勘違いする局面を選んで進めているようです。しかもチームプレイっぽくて、前回とはずいぶん様相が異なります。
実は、前回の電王戦のときに佐藤紳哉六段の練習対局の風景を見たのですが、将棋所で読み筋表示はあえてオフにして対局されてたんですね。
正々堂々とした対局姿勢だとは思いましたが、同時に、それは(ゲーム攻略的に考えると)かなり損ではないか、とも思いました。私がプロの立場ならソフトの読み筋を見ながら弱点を探すのにな、と。
そういう意味からすると今回は私がもともと想定している対局姿勢なのですが、こういう攻略の仕方をされたときに、コンピューター将棋の序盤は(プロ棋士からすれば)かなり脆い意味があって、簡単に弱点が見つかってしまうのではないかと。
いずれにせよ、トッププロと実力的には互角以上と言われているコンピューター将棋がアマ初段でも指さないような大悪手を序盤で指すという点において大変興味深い事例ですね。
やねうらお
「下位の相手に結構取りこぼすのでソフト側の期待勝率はもう少し低い気がします。
あと事前研究があるので、これで20%ぐらい期待勝率が下がりますし、
悪い定跡を事前研究で発見されてしまった場合、さらに下がるでしょう…。」
稲葉七段
「これになる確率 実際はどれ位なんでしょうね 現状4割か5割かもしれないなと思っているので 他の作戦を用意しなきゃいけないので」
これ、あかんパターンのヤツや・・ (´・ω・`)
私が発言したコメントだとわかりにくかったので、コメント編集機能を使って先頭に「やねうらお」と追記しておきました。あしからずご了承ください。
あしからずという字を見てカラスを連想してしまうのは、私が最近ドラクエ3とドラクエ5を立て続けにクリアしたからだろうか?
いや、前もそんな事考えたような・・
ちなみに「これ、あかんパターンのヤツや・・」は第1回電王トーナメントでponanzaとやねうら王が戦って両方とも評価値プラスを出してる時にやねうらさんが悲しげに言った言葉です。
(´・ω・`)←はその時のやねうらさんの表情。
こういう1つの現象なんだけど、いろいろな意見があって見ていて楽しいです。
やねうらお氏
ひねり飛車の定跡書でよく出てくる飛車を詰まされる変化
序盤定跡整理
(棋力のある人が手入力
or 中終盤力のあるソフトが長い時間をかけて探索)
山本氏
評価関数を良くする
飛車が詰まされかけていることを評価関数で判定しようと思うと、KPPでなく、PPPか、PPPPが必要な予感。
飛車の狭さを評価するためにKSP(S=Pの8近傍の駒の有無)みたいなものを入れるのはアリかも知れませんが。
あと、私はこういうパズル的な飛車の詰ましかた、これはこれだけを考えればわりかし少ない探索量で発見できるので、これ用の探索ルーチンを用意して、その結果をkillerに反映させるなり何なりすれば回避できるかも、とは思っていますが、飛車が詰むパターンはいろいろあるので何とも難しいですね…。