前回の続きです。書く時間が取れないまま前回から1週間ほど経ってしまい、当日はお酒も入っていたことで、すべては思い出せないのですが、むしろ、私の年齢においてお酒が入っている状態で、これだけの会話量を事細かに覚えていることを褒めて欲しいぐらいで(笑)、細部が違っていてもそのへんは御容赦願いたいわけです。
将棋ソフトにより定跡の局面に結論が出る日が来ますか?
森下先生と私との会話。(お互い、お酒入ってます)
森下「将棋ソフトにより定跡の局面に結論が出る日が来ますか?」
やね「それに似た質問、私、以前、Ponanzaの山本君にしたことがあるんですよね。」
森下「ほうほう。」
やね「例えば、角換腰掛銀の定跡で富岡流という必勝定跡がありますよね。あの富岡流の入り口の局面でコンピューターに思考させて、勝ちまで読みきれるのかと。」
森下「はい。」
やね「実際のところ、いまのPCの何万倍か、下手すると何億倍かの計算資源がないと勝ちまでは読みきれないと思うんですよ。いまのPCがそれだけ速くなるのにはあと10年や20年では済まなさそうです。逆に人間は何故、あの定跡を完成させられたのか?」
森下「ええ。」
やね「人間の場合、『この局面で勝つとしたらこれしかない』みたいに局面を限定していくことが出来ます。また、変化(枝葉)の少ないほうの局面をまず先に調べたりします。『こっちのほうが変化が少なくて、これで(勝ちが)決まるなら話は簡単だ』みたいな考え方をしますよね。そういう考え方をしていかないと定跡局面での結論って出せない(詰みまで読みきれない)のではないかというのが、そのときの山本君の意見でした。いまのコンピューター将棋はそういうことはしていないです。詰将棋用のプログラム(df-pn)では変化の少ないところから先に読んでいくようなアルゴリズムが使われていますが、指し将棋では、そういうことはしていないです。ですので、いまの指し将棋の延長上では、あと10年や20年では富岡流を自ら産み出すソフトは出てこないということになります。全く別のアプローチによる将棋ソフトが誕生すれば、そのへん違ってくるのでしょうけども…。」
森下「なるほど。」
森下先生、最近は香落ち発言にカチンと来ない?
森下「やねうら王さんの『(プロ棋士は)香落ちで互角』発言にカチンと来て、あんなことに(森下先生のツツカナとのリベンジマッチ)なってしまいましたが、そのあと、実は、西尾さんにチェスの話を聞きましてね。」
やね「ほうほう。」
森下「チェスではポーン落ちというのがあるんですって。」
やね「ポーンを落とすとして将棋だと香落ち以上のハンデですよね。」
森下「将棋で言うと桂落ちか、銀落ちか…ぐらいに相当するのでしょうか。」
やね「はい。」
森下「グランドマスターが下手(したて)を持って、コンピューターチェスが上手(うわて)で、しかも下手先手で(将棋は駒落ちでは普通、上手が先手)、それでグランドマスターが負けちゃうって言うんですから!チェスの世界はもうそんなところに来てるんですね。西尾さんにその話をあと数ヶ月早くに聞いていたら、私も、『香落ち』発言にはカチンと来なかったと思うんですよ。(笑)」
やね「でも、森下先生は、リベンジマッチでツツカナに勝てて、結果オーライだと思いますよ。(笑)」
平岡さんが「2週間でやねうら王を作った」説に異議を唱える
平岡「やねさん、1年に2週間だけ将棋ソフトを開発するとかゆうてはったじゃないですか。2週間って絶対ウソでしょ。」
やね「嘘やないわ!ほんまに2週間しかやってないのよ。」
平岡「でも、コード書いてる時間はそうだとしても(関連技術を)調べたりする時間とかあるじゃないですか。」
やね「まあね…。」
平岡「それに、今回のやねうら王にしても電王トーナメントの直前に学習部を作り直した2週間とは別に、Stockfishベースに書きなおした期間もあるじゃないですか。」
やね「ああ、それを入れたら、1ヶ月弱ぐらいなのかな?」
平岡「いやいや。電王トーナメントの直前の2週間にしても、なんであんな寸前なんですか。ほんまはもっと前からやってて、負けたときの保険のために『2週間前からやったデー』とか言ってるだけちゃうんすか?」
やね「ちがうて!ほんまに2週間前にならないとやる気にならないの!病気なの!直前にならないとやる気にならない病気!!」
平岡「よう、それで間に合いましたね…。」
やね「そこは、ほら、『やねさん、めっちゃ賢い』から(笑) この性格でアホやったら、私、いまごろ、燃えるゴミの日に出されているゴミ、ゴミ捨て場で5個の袋を4個に詰めなおして、1袋余らせて、その余らせたやつを安くで販売する商売(※)して路上で暮らしてたと思う。」
平岡「そんな商売、ありませんて!!(笑)」
※ 自治体によっては、ゴミ袋は有料なので市価より安くであれば売れるのかもというジョークです。本当にこれをやったら何らかの法に触れると思います…。
息子がイケメンすぎてヤバいという話
女性の方と私。
女性「息子さん何歳なんですか?」
やね「いま6歳で4月から小学校です。(スマホで撮った息子の写真を見せながら)」
女性「息子さん、(やねさんに)すごく似てますね!」
やね「イケメンでしょ?幼稚園のとき、息子はいつも女の子に囲まれててモテモテだったみたいで、息子を迎えに行ったら『パパ、なんで来たん?』『なんやったら、迎えにこやんでいいで?』みたいなこと言うんですよ?」
女性「(笑) 息子さんには、プログラミングは教えないんですか?」
やね「私ね、プログラミングは数学的な概念に根ざしていると思っていて、数学をやらずに先にプログラミングを教えると結局は回り道なんじゃないかなって思ってるんです。」
女性「そうなんですか?」
やね「ええと、あなたは、将棋はわかりますか?」
女性「一応、女流棋士なので、そこそこ…。」
やね「女流棋士の方でしたか!いま、めっちゃびっくりしました。大変、失礼しました。」
女性「いえ」
やね「将棋で、最初に定跡を事細かに教えても意味がないじゃないですか?『定跡の指し手以外はこうなって悪い』だとか、『定跡の指し手にはこういう意味がある』みたいなのが理解できる段階になってからでないと、意味をなさない。羽生さんと同じように初手76歩を指したとしても、その意味するところがまるで違う。同じように出来ている(序盤が指せている)から同じことを考えた結果だとはとても言えない。」
女性「はい」
やね「それと同じで、プログラミングも形だけ教えても、結局は遠回りなのかなと。」
女性「なるほど…。」
私は2週間で作ったって信用してましたよ。
やねうらさんの家には精神と時のやねうら部屋があると踏んでます。
ドラゴンボールに出てきた「精神と時の部屋」は1日が365日でしょ…ええと2週間だと…14年もやってることになるのか!え、そんなに!?
精神と時の部屋は一生の内で2日(つまり2年間)しか利用できないので、毎年電王戦トーナメントの度に数ヶ月利用してらっしゃるんですね。
気温50度から氷点下40度、重力10倍の環境に耐えられるPCを持ち込んで、低酸素環境の中開発したやねうらおさん、流石です。
なるほど。ひまうら王とブラうら王の期限が切れれても完成してないのは、精神と時の部屋の使用可能年数に限度があるからか…
最後の女性の方は、塚田恵梨花女流2級じゃないですかね。違うかな。
視力0.1以下の私は声で人を判別しているので、初めて聴く声だと誰だかわかりません><
やねさん、メガネやコンタクトは付けられないのですか?
視力0.1以下ですと、プログラミングする時に大変だと思うのですが、大丈夫でしょうか?
まあ、やねさんなら目を閉じたままコード書けるでしょうから、問題ないですかね。
自分がタイプした文字はだいたい覚えているので、アルファベットが■、{ } ( ) [ ]は、《 》としてぼんやり見えているなら、だいたいはわかるんじゃないでしょうか。将棋の駒が全部 ■ だとしても、自分の指した将棋ならどの升目にいるかで何の駒かわかるのと同じで…。
外出時用に、というか、人間識別用に(笑)眼鏡を作っておいた方が良いのでは?
平岡さん説に賛成です。
でも、やねさんが”人喰いトラが目の前に来ないと走らない病気”なのも知ってます。
訂正
「目の前に来ないと」==>「目の前に来るまで」
目の前に来るまで「目が悪い」ので気が付かないのが、やねさんですw
なるほど。
「命知らずの理由」がそんな所にあろうとは、、、。
1)息子さんが、イケメン
2)息子さん、(やねさんに)すごく似てます
3)やねさんが、イケメン
という三段論法ですね。うらやましい。。。
そ、、そうか!!俺様はイケメンだったのか!!ナ、、なんだってー!
実際、やねさんはしゃべりがうまいからもてるんじゃないですか?
森下さんは身から出たサビでしたが、結局得しましたよね。
自分の理論を自分で実証するんですからプロの技は素晴らしいです。さすがデベロッパ。
自分は2週間デスマーチするのは精神的に無理です。うらやましいです。
確かにコンピュータは局面の意味を理解していないので、水平線効果で無意味な王手をするみたいな要因はいまだに抱えていますからね
そういう部分は人間の足元にも及ばない
αカットβカットは素晴らしいんですけどね
相手が間違えないと思って 一番 長く指せる手を選ぶコンピューターと、
相手が間違えないと思って 投了するニンゲン☆
もし負けをさっさと認めて投了して、次の対局を
した方が どんどん試合を積み重ねられて有利、
ということにでもなったら、
コンピューターにも、投了することがブレイクスルーに
なるかもしれないし、そうでないかもしれないな☆ww
投了に利点があれば、投了を覚えると思うんだぜ☆ww
伊藤さんのブログの最新記事
第2回電王戦における対局ルール決定プロセス
そのコメント欄のトップにありました。
電王戦や裁判における伊藤さんの奮闘ぶりが伝わってきます。
伊藤さんはソフトの事前貸し出しに関しては賛成ですか反対ですか?
第四回電王戦の開発者は
aperyの平岡さんは「不公平なので断固反対」
ponanzaの山本さんは「ponanza強いので何でも大丈夫」
AWAKEの巨瀬さんは「プロの棋力向上に役立てられるなら賛成」
伊藤さんの率直なご意見を聞かせてください。
投稿: やねうら王 磯崎元洋 | 2015年4月22日 (水) 23時53分
ご本人でしょうか?
それとも同姓同名の方なのでしょうか?
↑そのコメント、私ではないです。
誰だよ、騙るなよヽ(`Д´)ノウワァァァン
やっぱりね。
やねさんの場合は「山本さん」ではなく「山本くん」なのでした。
ついでに私は自分のことを本名で呼ぶ(書く)ことは、まずありません。このブログでも本名を書いたことは一度もありません。(引用元がそうなっている場合は原文ママとしていますが)
伊藤さんブログに「ご本人ではない様です」旨、連絡は入れておきました。
ありがとうございます。ついでに私の代わりにこのブログの更新もしてもらえると助かります。(笑)
許容範囲は匿名まででしょう。
人の名を語る、、、とは。
「ニコニコ」のコメントなら冗談ですみましょうが、、、。
、、、という具合にキレたのでありました。
やねうら王は駒落ちの自動学習しないのですか?
香落ち〜飛車香落ちあたりはまだ鉱脈がありそうだと思ってますが。。。
駒落ちの場合、棋譜からの学習をやるには、棋譜が圧倒的に少ないので、まずは棋譜なしで学習できるようにしないと…。
5五の龍世代としては、将棋は駒落ちから勉強すべきという影響が強いんですよね。
それはそれとして、棋譜学習を避けて10枚落ちから全て事後学習で育て上げたソフトってどのくらいの強さになるでしょうか?
結果として平手まで行けるかどうかはわかりませんが、少なくとも従来の駒落ち定跡を書き換えるのは難しく無いと思います。
いつの間に羽生さんと対談してたんですか!?ビックリしました!
https://www.shinchosha.co.jp/nami/newest/
磯崎憲一郎?そっくりさんですか?
冗談ですけど。他人だと思います。
やねさんと羽生さんの対談が読みたいです・・・冷たい世のしがらみが邪魔をするのかもしれないですが
電王Tとファイナルで、開発者の皆さんは、4日間は同じ場所にいらしたわけですが、
他のソフト制作チームのプログラム力って、やねさん視点から見てどうでしょう?
◎:かなりデキる。チーム合計すれば、やねさん級
○:けっこうデキる。油断できない
△:面白い発想が時々出る。
×:わからん・・・棋力や情熱でカバーしてるのかも?
?:プログラムの会話をできなかったので分からない。
出場ソフトの各チームについて、私の予想は
Apery平岡チーム:○
selene西海枝さん:△
ponanza山本下山コンビ:○
AWAKE巨瀬氏:?
です。当たってるかな・・・
上位の将棋ソフト開発者は、その実績をもって、ある技術水準に達していることは保証されていると私は考えています。それは一般的なソフトウェア開発会社では十分すぎるほどのレベルです。あとは最新の技術にキャッチアップしていて、経験年数が長くて(色んな分野に長けていて)、数学やアルゴリズム系に強ければ、なお良しだと思いますが、私は他の開発者とは将棋ソフト以外のことはほとんど話していないのでそのへんはよくわかりません。
コンピューター将棋選手権のセレネの宣言勝ちについてどう思いますか?
プログラマ的には「あ、先にやられた!」とかちょっぴり悔しい気持ちってあるものですかね?
見てる側からは電王戦の借りを返した感じで素晴らしいと思いました。
選手権、見てないのでよくわからないのですけど、宣言勝ち自体はやねうら王も含めて上位のソフトなら必ず実装してます。入玉模様になって手駒が増えてきたら宣言勝ちの局面を目指します。それは上位のソフトならばどのソフトでもそうだと思いますよ。
>> 入玉模様になって手駒が増えてきたら宣言勝ちの局面を目指します。
seleneはmate17ぐらいの宣言勝ちを出していたそうですが やねうら王も出せますか(?_?)
通常探索中に宣言勝ちの局面を見つけただけでしょうね。上位のソフトならば(やねうら王も含め)、その動作になります。
選手権のネタバレですが、ポナが全勝優勝しましたね。
金と棋力とプログラミング技術を注ぐと無類の強さになるんですねぇ。
NDF2位でしたが、プログラミング技術と経験でもそれなりにやれることがわかりました。
見どころは、最後の日のAwake vs NDFですね。
趣味製作の頂上決戦です。結果はお楽しみに。
選手権での解説記事がここに書かれるかなと思ったのですが・・・
話しは変わりまして
「データが少なくてわからない」。そんな時でも諦めなくてもいい。まばらなデータから本質的な部分を抽出して目的の情報を取り出す数学的な手法がある。「スパースモデリング」といい、天文学や医療、地球科学など様々な分野で役に立つことがわかってきた。数学が変える科学の最先端をのぞいてみた。
将棋の評価関数パラメーターの調整ですが、Ponanzaとか、NDFとかは局面を水増しさせて学習しているので、教師例が少ないということはないのではないかと思いますね。恐るべし。
フレーム問題はヒトにとっても、ソフトウエアにとっても難問です。消費時間を何処で使うと有利なのか。現局面での複数の評価値の分布や収束の時系列がどのようなときに、消費時間を使うのが有利であるというように、消費時間戦略というモノは実装可能ですか?選択枝ではなく、局面での消費時間そのものを枝刈りしていくようなイメージです。
消費時間をうまく制御して棋力を強くするというのは、Ponanzaチームの下山さんが卒論でされてましたね。(その卒論の謝辞に私の名前が入っていたり)
いまの(Stockfish型の)ソフトは、結構うまく時間を使うのでちょっとやそっとではどうにもならない印象はあります。例えば、その局面が複雑(難解?)かどうかなどはある程度実際に探索してみないとわからないことですし…。
ponanzaの独走ではコンピューター将棋界も面白くないので、やねさんの独創的なやねうら王2015がponanzaを倒すのを世界が待っています
そろそろ次の記事を催促してもよろしいですか?
ブラうら王はよー!
続きが早く見たいです!!
昨日のニコ生で将棋を全く知らない女性が天下一に挑戦するというのがあったんですが、最弱com6枚落ちで1回勝っちゃったw こういうのを見ると改めて「知能って何ですか?」という疑問に戻ります。
駒の動きさえ知らないのに、3局目あたりで「歩を進める」とか「王様をとりあえず安全な方に動かす」とか理解しているのが面白かったw