mブランチ雑感

やねうら王mブランチとは強いのか、弱いのか。そこには、どんな技術が使われているのか。ざっと書き残しておきたい。

やねうら王は、そのGitHubのほうをしばらく更新していなかった。一言で言うと面倒だったからである。(これについてはまた機を改めて書きたい。)

それで、その更新していない間に、やねうら王のGitHubのコードに、Stockfishの最新の改良点を取り込んで公開している人がいて、それがmというブランチ名であったのでmブランチと呼ばれているわけだ。

https://github.com/yunyun0419/YaneuraOu/tree/m
※ 今年の4月28日のcommitを最後に更新は停止しているようだ。

今年のWCSO1(世界コンピュータ将棋オンライン大会)で優勝した『水匠』も、このmブランチを使用していた。

さらに、上のmブランチに最新のStockfishの改良を取り入れた人がそれをなんとかちゃんねるで配布していた。今年の10月4日までのStockfishの更新分までが(部分的に)反映されているようで「mブランチ1004」などと呼ばれている。

さて、その内容だが、Stockfishのコードの探索パラメーターほぼすべてそのまま。探索パラメーターの調整は一切行われていない。枝刈りの取捨選択もほぼなされていないとみなして良いと思う。

ただmブランチ、Stockfishから取り込むのが難しい修正は取り込まれていない。(正直、そこを取り込むのが一番苦労するし、修正内容を検討するのに時間もかかる) mブランチは探索部を中心に、簡単に強くなる部分をざっと取り込んだ感じである。

つまり、これは、2016年ごろの『Apery』に対する『Silent Majority』(ソフト名)なのであるな。

※ 当時、Aperyが短い時間の自己対局で強くなるように調整していたが、Stockfishの探索パラメーターほぼそのままで、枝刈りもほぼそのままであるSilent Majorityというソフトのほうが長い時間では圧倒的に強かった。長らく、Silent Majorityを追い抜くことができなかった。追い抜けない原因も長い期間わからないままであった。

まあ、Stockfishを探索パラメーター(枝刈りの条件)はそのまま、枝刈りの内容もそのまま持ってきて、それでまあそこそこ強くはなるんだけど、それでやねうら王(本家)に勝てるかというと、それで勝てるほど世の中、甘くはないわけであるな。

私にしても、Silent Majorityについては当時だいぶ研究したし、そこを乗り越えていまのやねうら王がある。さすがに探索パラメーターそのままのソフトに負けるわけねーべ。(注:5割以上は負けないという意味です。4割ぐらいは負けます)

Silent Majorityの時もそうだったけども、mブランチのようなソフトは、Stockfishをなるべく忠実に移植してきて、それでバグがなければどれくらいの強さになるのか、というリファレンスの役割は果たす。これより弱ければ自分が悪い改良をしてしまっている、あるいは、何らかバグがあることがわかるからである。

そういう意味では開発者にとって、大変ありがたい意味はある。

ただ、こんな程度のソフトには、やねうら王(本家)は決して負けない。(4割ぐらいは負けます) 負けようはずがない。(4割ぐらいは負けます) 負けることなんかこれっぽっちも想像がつかない。(4割ぐらいは負けます)

7 thoughts on “mブランチ雑感

  1. mブランチ、探索パラメーターは一切調整されていないものの、「この枝刈りを入れたら致命的に悪くなる」というものはコメントアウトしてあって、最低限の実験はしながら取り込んだものだと思われる。

    そういう意味では、これを書いたのは、わりとわかってる人だと思う。

    • mブランチまで解析お疲れ様です。とても面白いです!

      あと、これすき。

      >(4割ぐらいは負けます)

      この統計的世界では4割負ける(しか負けない)のは負けとはいわない!

  2. 将棋にもチェスにも有効な特徴と、片方のみに有効な特徴などを分類して眺めたら、将棋とチェスのゲーム性が俯瞰できたりするんでしょうか・・・?

    • Stockfishの探索部、かなり汎用的な書き方になっているので、似たゲームなら大抵通用しそうですけどね。将棋はもちろん、これに似たボードゲームなら。(二人で駒を交互に動かす感じのゲームなら)

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