やねうら王Wikiが完成した件

やねうら王のGitHubとそのWikiのテキストをすべて刷新した。この作業に40時間以上要した。

やねうら王GitHub : https://github.com/yaneurao/YaneuraOu

やねうら王Wiki : https://github.com/yaneurao/YaneuraOu/wiki

我ながら、素晴らしいテキストの充実ぶりである。初心者向けのやねうら王・ふかうら王のインストール方法から、エンジンオプション、開発者向けのビルド手順、学習用のコマンド、定跡生成コマンドそして関連リンク、質問箱など、いまさらながらだが、書ける限りのすべての情報を書いたし、質問も気軽にできる状態にした。

本当は、YouTubeのやねちゃんねる(やねうら王公式ちゃんねる)の動画でぼちぼち解説していくつもりであった。しかし、動画制作というのは意外と時間がかかるもので、動画1本作るのに台本を含めると20時間ぐらいかかってしまうのである。そこに20時間かけるぐらいなら、公式のドキュメントを5時間でもかけて整備すればどれだけ良質でわかりやすいものになるか、ということを考えると動画を作るのが躊躇われた。

このドキュメントを何故いままで書かなかったのかというと面倒だったからと言うのもあるが、開発者以外の人からの質問がわりと嫌だったからというのもある。「Zipファイルとは何ですか?」みたいなの質問されても嫌じゃん?私はすぐにググレカスって言っちゃう。最近は、ちょっとお上品になったので「おググり遊ばせ」とかなんだけど。そう言っちゃう。

まあ、やねうら王プロジェクトで公開しているものは勝手に使いたければ使ってもらえればいいのだが、それは「as is」(現状のまま)での提供であって、ソースコードからのコンパイルすら出来ない人はお断りなのである。少なくとも2015年の公開当初はそうだったし、そのつもりだった。

しかし、その後、多くの開発者がやねうら王を改造するようになり、そして、多くの将棋ファンがやねうら王を使うようになった。そうすると「無料で使えるやねうら王インストール方法」とか「最強の先生(水匠)を入れよう」みたいなクソブログとかYouTubeのクソ動画が出てくるわけである。そこには、エンジンオプションの説明すら書いてなくて、やねうら王のGitHubのリンクすらなく、やねうら王とすら書いてないのである。何が最強の先生じゃボケ。私に言わせれば、勝手に商品を塗装し直して販売する中華クオリティそのものである。

今年の始め頃にそういう状況を見て、完全に頭に来たわけである。そこで、勢いで開設したのがYouTubeのやねちゃんねるだったのだが、しかし冷静に考えればそんな状況にしてしまったのは、自分(私)が悪いのである。利用者がこれだけ増えているのに私がドキュメントを書くのをさぼっていたからそんなことになってしまったのである。使って欲しくないからドキュメントを書かなかったのだろう?なら、自業自得じゃないか。逆恨みなんてとんでもない話だ。そんな感じで一気に頭が冷えたのか、書ける限りのドキュメントを書く気になったわけである。40時間以上かけてな…。

ちなみに今回のWCSC32のためにやねうら王を強くするのに要した時間ですら、40時間もかけてないと思う。(その他の改良でもっと時間を費やしてはいるが) 人口の上位1%に余裕で入るレベルのタイピングスピードを誇る私が、ドキュメント書くだけで、これだけ費やしたのはもはや執念であり狂気でもある。

ともかく、やねうら王のGitHubを見ればインストール手順から何から何まで書かれているので、今後、やねうら王の導入に関してはGitHubのほうを見てもらえればそれだけで事足りるという状況にはなった。もうやねうら王公式じゃない動画をやねうら王を導入しようとしている誰かに紹介しなくて済むはずだ。将棋ファンの皆様。いままでごめん。待たせたな。

やねうら王Wikiが完成した件」への8件のフィードバック

  1. ウワーッ有難う。
    おっさんは今から読み始めます(*^-^*)
    何とか死ぬまでに読み終えて、理解し、使い熟そうという生きてる間の目標ができたニャー(*^-^*)

    重ねて有難う、有難う(*^-^*)

  2. 素晴らしいwikiで正座しながら読みましたが、思わず80cmくらい飛び上がりました!
    おそらく、プロの棋戦を検討しながら見るときのおすすめ設定とか自分の棋譜を解析するためのおすすめ設定のような謎動画や謎ブログが追いかけてくる気がしますねw

  3. ずっとやねうら王を追っている身として、この解説がいかに時間がかかり丁寧であるのかがわかります。感謝申し上げます。

    おそらくですが、PCにやねうら王を導入する際に動画で調べるような層はフォルダの構成に困惑している気がします。内包している水匠5がでてからは問題ないですが、elmoやqhapaqなどを使いたい人は評価関数をダウンロードしてもソフト名のフォルダにnn.binがあるだけで、evalフォルダ作ってその中にnn.binを入れて〜みたいなとこで躓いている方が多い印象です。そのあたりの簡単な構成なんかも入門の最もわかりやすい位置にあると良いのではないかと思います。

    探索部と学習部の進歩や改善にかかる労力は評価関数の精度を高めるのとは比べ物にならないほど困難でコストのかかるものかは理解していますので、今後ともやねうら王を応援し続けますね!

  4. Wikiのおかげで新たな発見の日々が送れています。
    学習の部分でお聞きしたいのですが、ここの部分は3駒のときから変わっていないでしょうか?
    他の複数の開発者の方の学習ログ(評価関数とセットになってたり、開発者が公開、ツイートなど)を見るに、ここに載っていないコマンドや、Wikiからの引用です〈30.0が標準的な学習率。〉の部分があまり見ない値でした。
    私自身、職や専攻が違う分野でもありソースコードを読むだけで理解できないところもあるので、やねさんのブログやこのWikiを中心に勉強しているため見当違いなコメントでしたらすいません。

    • > ここの部分は3駒のときから変わっていないでしょうか?

      コマンドは変わっていないです。学習率(eta)の意味は変わっているので、以前と同じ値だと学習がうまく進まないと思います。そのへんはlossを見ながら調整していただければと。

  5. NNUEのやねうら王を使っているんですがStochastic_Ponderを利用する時はUSI_Ponderもtrueにしなきゃ駄目なんですかね?

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