WCSC31に向けてHEROZが本気を出し始めたようです

NVIDIA A100というGeForce RTX 3090の3倍ぐらいの性能のGPUがあって、AWSだとA100×8、GCPだとA100×16というインスタンスが借りられる。前者の料金は1時間4000円弱、後者はその倍程度である。

WCSC31(第31回世界コンピュータ将棋選手権)は、3日間開催されるため、これを3日×10時間とか借りるのはわりと負担である。A100を借りるかどうか迷っている参加者も多いと思う。

そんななか、PAL(将棋ソフト名)の山口さんが、凄いことを言い出した。

HEROZでA100×72基が使えるようになったと言うのだ。おそらく、PALはこれすべてを使ってWCSC31に出場してくるわけではないだろう。ないだろうが、仮に優勝がかかった試合にだけでもその一部を使えるなら、すこぶる有利なはずである。子供の喧嘩に戦車で応戦するようなものだ。

AWSやGCPにA100×72基のようなインスタンスは存在しないが、仮にA100×72基のインスタンスがあるとしたら、その料金は1時間4万円以上になるだろう。3日間×10時間だと120万円である。

昨年の電竜戦で優勝したGCTの開発者の加納さんは、今回はdlshogiの山岡さんとのタッグで出場される。先日、そのGCTチームがfloodgateにA100×8でテスト対局されていた。

テスト対局のために長時間A100×8をAWSで借りることは考えにくいため、これは山岡さん(HEROZ勤務)がHEROZのマシンを利用しているものと推測される。テスト対局のためにA100×8を使うぐらいなので、当然大会本番は、これと同等かそれ以上のマシンを用意するということだろう。

PALが大会本番にどんなマシン構成で出場してくるのかが楽しみではあるが、GCTチームと同等だと考えるとA100×8以上であることは間違いなさそうである。

PALは、NHK杯テレビ将棋/囲碁トーナメントで形勢表示を行うAIとして採用されているので、HEROZとしてはここでPALに優勝してもらいたいところなのかもしれない。

PALの出場マシンのスペックに私は戦々恐々とするが、PALやGCTがソフト自体としても強いことは間違いない。将棋ソフトの開発では自己対局によって大量に教師となる棋譜を生成しなくてはならない。(そこから学習させる。いわゆる強化学習である。) そのためにA100が自由に使えるなら、他の個人開発者はそれに太刀打ちできそうにない。

[2021/05/05 18:00 追記]

WCSC31に向けてHEROZが本気を出し始めたようです」への12件のフィードバック

  1. 今、上に出てにょきにょき動いてるやつの計算をしてるってことかw
    先手盛り返してきたw

    • これ、10:90くらいで先手にまだ10%ほど残ってるけど、勝ちに至れる手数の比がそのくらいであって、人間同士の対戦だからそんな10%の先手が勝つような後手にとってヘマな手なんてよほどのことがない限り使われないみたいな意味でいいのかな?
      書いてるうちに4:96だしw

    • うーん、グラフは横より縦のほうが綱引きの引き具合みたいにわかりやすそうだと思ってたけど、表情カメラの映像が将棋盤の横の空いてるところに入るのかw

  2. AobaZeroが一次予選で敗退したのに衝撃を受けましたが、やねさんは突破できなかった原因はどこらへんにあると思われますか?

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